1988年発売(アイレム)
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西村京太郎原作のトラベルミステリーをファミコンで体験!
ブルートレイン殺人事件の原作は西村京太郎氏です。
西村京太郎といえば主に旅先で電車の乗り換えなどを殺人トリックに使用した「トラベルミステリー」が有名で、2021年2月現在では御年90歳の推理小説界の超大御所です。
警視庁捜査一課の十津川(とつがわ)警部を主人公とし、亀井(かめい)刑事とともに数々の難事件に挑み、小説だけでなくTBSやテレビ朝日、ごくごくまれにフジテレビなどで数々ドラマ化されています。(局を問わずそのすべてに山村紅葉が出ているのはファンなら常識)
もちろん私は小説もテレビドラマも好きで、20年以上多くの事件を見てきました。
(尤も、ここ数年は小説は読めてないですけど。。)
その西村京太郎のゲームがファミコンでできるとなると、非常に興味深かったです。
なお、小説にも「寝台特急(ブルートレイン)殺人事件」があり、ゲーム同様に「はやぶさ」が事件に関わってますが内容は別物となります。
ブルートレイン殺人事件のストーリー
11月10日、東京から山口へ向かう寝台特急「はやぶさ」の個室A寝台で男の死体が発見された。
この事件に警視庁の十津川警部は部下の亀井刑事に捜査を命じることとなる。
ブルートレイン殺人事件のキャラクター
十津川警部
警視庁刑事部捜査一課に所属する警部。
「十津川班」で抜群の指揮能力を発揮し、自らの鋭い勘と行動力で数々の難事件を解決してきた。
本作では捜査するのはごく一部で、亀井や西本に任せ捜査本部で指揮を執る。
亀井刑事
通称カメさん。十津川とともに数々の事件を捜査し、厚い信頼を寄せられているベテラン刑事。
人情家気質で、冷静な十津川に対し時には感情を露にすることもある。
本作では「はやぶさ」の事件をメインに担当する。
西本刑事
亀井と同様に十津川の部下の若手刑事。
正義感が強く十津川や亀井が離れているときは代わりにを捜査本部の指揮を執ることもある。
新妻を失った後は多くの女性に恋するだけではなく、プライベートでも何かと事件に巻き込まれる。
本作では後に起こる東京の事件を捜査する。
広森明美
東京の芸能プロダクションに所属する清純派アイドル。
本作のヒロイン的な立ち場であり、やがて事件に関わってくる。
ブルートレイン殺人事件のシステム
ゲームはオーソドックスなコマンド選択式のアドベンチャーです。
「いどう」で捜査場所を移動したり「きく」で人から話を訊くなどして事件を捜査していきます。
まずははやぶさ車内で見つかった殺人事件を亀井視点で捜査します。
やがて東京の多摩川付近でも事件が発生し、こちらは西本が担当することとなります。
このゲームは亀井が捜査するはやぶさの殺人事件と西本が捜査する多摩川の殺人事件を同時に進め、途中で「ひとかえる」ことでそれぞれの捜査を切り換えることになるザッピングシステムが採用されています。
なお、片方がある程度進まないともう片方が先に進めない場面もあります。
もう一つの特徴は指紋照合システムです。
事件の手がかりを探していくうちに、一部の物から指紋を採取することができます。
そして被害者や関係者の指紋と照合させ、一致することで確証を得る事となります。
そして、西村京太郎のトラベルミステリーといえば列車の乗り換えトリック!
ゲーム内でも時刻表を見て実際に推理し、容疑者が殺人が可能か否かを証明する為に足跡を辿るチャレンジをします。
ブルートレイン殺人事件のハイライト
暴力団の事務所を訪れて組員から威嚇される西本。
捜査の基本は足で動くことで、亀井も西本も様々な場所に赴きまます。
最初は大した情報が得られなくても何ヶ所か回って再び訪れると意外な情報から事件が進展することもあります。
一定の区切りで十津川警部に報告。
調査内容が不足していると怒られることも??
なぜかアイドルのコンサート会場を訪れることとなった西本。
その目的とは…?
やがて過去の事件との因果関係を調査する為、舞台は西の地へ…。
事件の謎はさらに深まっていきます。
そしてこの方はもしや…!?
ブルートレイン殺人事件の感想
項目 | 評価(5点満点) |
---|---|
システム | ★★★★★ |
熱中性 | ★★★★ |
キャラクター | ★★★★★ |
音楽 | ★★★★ |
難易度のバランス | ★★★★★ |
ブルートレイン殺人事件は他のファミコンのアドベンチャーゲームにはない
「ザッピングシステム」「指紋照合システム」「時刻表トリック」など独自の要素があります。
とくにザッピングシステムは当時ではかなり斬新でした。
別々の事件が同時進行していくのは小説では良く使われていますが、巧妙に事件の時系列などにも利用できる面白いアイデアに感じました。
そして小説やドラマでは主に十津川や亀井が別々、もしくは一緒に行動するのですが、このゲームでの十津川はあくまで「指揮官」の役割を担い、「第3の男(?)」である西本刑事をプレイヤーにしてるのも思い切ったところです。
なおザッピングシステムは後にPlaystationで発売された「探偵神宮寺三郎シリーズ」の「未完のルポ」や「夢の終わりに」にも採用されています。
そして西村京太郎のトラベルミステリーでは欠かせない時刻表トリック。
犯人の足跡を辿る為に実際に列車に乗ってアリバイ崩しに挑むこの場面は
ゲーム内で一度しかない最大のクライマックスであり最大の難所といっていいです。
仮に失敗してもデメリットなく何度もチャレンジできます。
余談ですがこのゲームのキャラクターデザインは
数あるテレビドラマの中でも一番印象の強い十津川警部に三橋達也、亀井刑事に愛川欽也、西本刑事に森本レオを起用した一時期のテレビ朝日版のキャスティング陣の外見にそのまま寄せられている気がします。
ただファンの方には残念ですが、なぜか北条刑事だけは山村紅葉に似てません…。
ちなみに西村京太郎作品は事件ごとに1人の女性を中心にヒロインとして立てる作品が多く、今回も広森明美がしっかりと担当してますね。
そして小説での女性キャラは語尾に「~ですわ」という上品な口調が多く「なかかなの美人である」という言い回しも特徴的です。
私は西村京太郎氏の文庫本を何十冊も読み、ドラマも何本も見ており、数年前には湯河原にある記念館を訪れたなどそれなりのファンです。
(上を見たらきりがなくマニアと呼べるほど詳しくはないのでご了承ください。)
やはり西村京太郎氏原作のゲームをするからにはただコマンドを片っ端から選択していくだけのアドベンチャーじゃつまならい。
このゲームはそれをすごく意識して十津川と亀井が活躍するトラベルミステリーの雰囲気を崩さないどころか西村京太郎ワールドの醍醐味をこれでもかと味わえ、体感できるほど強いこだわりが伝わってくるゲームシステムに仕上がっていています。
ゲームオーバーや時間制限などは特になく、事件物といってもコマンド数が少ないのでちょっと頑張って色々試すだけで前に進めるほどよい難易度なのでブルートレイン殺人事件はアドベンチャーゲーム好きだけでなく、
西村京太郎ファンでも間違いなく満足できるストーリーとシステムだと思います。
私はこのアイレムさんの「西村京太郎サスペンス」が好きだったので、どんどんシリーズ化してほしかったのですが、残念ながらその後は「スーパーエクスプレス殺人事件」の1本しか出てません…。
ニンテンドーDSでもテクモさんから発売され、出来は悪くなかったのですが、アイレム版には及ばないと感じました。
本当にもっともっとアイレム版の西村京太郎作品のアドベンチャーゲームを遊んでみたいです!
なお前述したとおりファミコンの西村京太郎サスペンスは「スーパーエクスプレス殺人事件」もあります。
こちらは新たにモンタージュ機能を搭載し、目撃者からの証言に基づいて容疑者の顔を作成することができます。
興味がある方は遊んでみて下さい!
スーパーエクスプレス殺人事件(FC)
2022年3月に亡くなったミステリー作家・西村京太郎氏がかつてファミコンゲーム用に書き下ろしたアドベンチャーゲームの第二弾です。
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