2021年9月30日発売(日本ファルコム)
メインキャラを一新した「軌跡の新章」が開幕
ファルコムの人気ストーリーRPG「軌跡シリーズ」の最新作「英雄伝説 黎の軌跡(クロノキセキ)」が2021年の9月30日に発売されました。
同シリーズの「閃の軌跡」は4作で完結し、その後の「創の軌跡」はそれまでの軌跡シリーズの登場キャラクターが集結したオールスター版となりました。
今回の「英雄伝説 黎の軌跡(クロノキセキ)」は
従来の軌跡シリーズと同様の世界、歴史に基づいてストーリーが展開されますが、主人公など主要メンバーを完全に一新し、システム面など様々な変更が加えられています!
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黎の軌跡のストーリー
カルバード共和国の首都にして、大陸最大規模の巨大都市であるイーディス。
そこに探偵調査、交渉人、賞金稼ぎだけでなく表立ってできない市民からの相談事など警察では扱いきれない”裏家業”を執行する「裏解決屋(スプリガン)」が存在していた。
アークライド解決事務所を営むヴァンは自身の流儀に従い裏解決屋として活動する。
その事務所に一人の少女が訪れたことで新たな軌跡が始まろうとしていた。
黎の軌跡の主なキャラクター
本作でメインとなる8人のキャラクターです。
【左から】
イーディスで裏解決屋として活動する本作の主人公。
ドライな性格だが自分なりに筋を通すことを信念とし人脈もそれなりに広い。
アニエス・クローデル
名門・アラミス高等学校に在籍している1年生。
清楚で温厚な人柄ではあるが強い意志を持ちヴァンにある依頼をすることとなる。
フェリ・アルファイド
高位猟兵団「クルガ戦士団」に属する小柄な少女。
交流のあった他の猟兵部隊の消息不明を知り捜索している。
アーロン・ウェイ
共和国の巨大東方人街で暮らすアウトローの少年たちのリーダー的存在。
「月華流」の拳法と剣術を習得する一方で東方華劇で“女形”の剣舞を演じたりする。
リゼット・トワイニング
「マルドゥック総合警備保障」のサービスコンシェルジュを務めている。
裏解決屋のヴァンにはテスターとして武器やアプリを無償提供しているビジネスの関係。
カトル・サリシオン
バーゼル理科大学の修士課程にある弱冠15歳の少年。
新型戦術オーブメント「Xipha(ザイファ)」規格のAIをベースとした導力ドローンの研究開発と運用をしつつ助手も務めている。
ジュディス・ランスター
映画界において多くのファンを魅了するトップ女優のひとり。
気さくな性格で仕事でのプロ意識は高く、女優業以外でも裏の顔を持っている。
ベルガルド・ゼーマン
東方三大拳法のひとつ「崑崙流(こんろんりゅう)」を修めた武芸の達人。
かつてはヴァンに武術を教えた師匠だったが何かしらの事件で命を落としたとの報せを受けていた。
他にもヴァンの幼馴染である遊撃士のエレインや閃の軌跡シリーズでおなじみのフィーなどイベントや条件でパーティーに加わってくるキャラクターも登場します。
黎の軌跡のシステム
黎の軌跡で新たに追加された要素の一つに「L.G.C.アライメント」があります。
メインのストーリーの途中やサブクエストの結末の際、ヴァンの決断が問われる際に発生します。
そこで選択した内容により、LAW、GRAY、CHAOSのいずれかの値が増加し、それによって中盤以降の共闘勢力や敵対勢力に変化が生じて若干ストーリーが分岐します。
わりと人情的・平和的な選択をするとLAWが高くなる傾向があり世間一般的な公的組織である「遊撃士協会」との共闘の可能性が高まりますが、GRAY、CHAOSが高いと…どうなるのか?
また、従来の軌跡シリーズでは、様々なクオーツをはめることでパラメータが上昇したり導力魔法が使えるようになる戦術オーブメント「ARCUS」という端末を各キャラクターが所持していましたが
本作では「Xipha(ザイファ)」へと変更され、カスタマイズの仕様が変わっています。
装着できるクオーツは「攻撃1」や「炎症1」などパラメータ上昇や属性付与などに絞られ、他に「ホロウコア」と「アーツドライバ」も設定が必要です。
ホロウコアは、攻撃向き、魔法向きなど様々なタイプがあり、装着することでそれぞれ該当する基本パラメータを上昇させることができ、選択したコアによってAIによる音声アシストで戦闘をサポートしてくれます。
アーツドライバは、それぞれあらかじめ使用できる複数の導力魔法が定められ、さらに空いているスロットにプラグインをインストールすることで「ティア」や「セラス」などのお好みの導力魔法を追加できる仕組みです。
黎の軌跡の戦闘
今作の戦闘は大きく2種類に分かれます。
フィールドやダンジョンを移動中に敵と遭遇した際、前作まではコマンドバトルへの発展契機に過ぎなかったフィールドアタックを進化させ、ボタンによる攻撃や回避のアクションを実現した「フィールドバトル」が搭載されました。
リーダーに設定したキャラクターごとに剣を振り回したり銃を打つなどアクションが異なり、弱い敵など戦闘を早くさせたい場合に便利です。(フィールドバトルの難易度変更は独自に可能)
強敵などに対峙した場合、クラフトや魔法による攻撃、強化などじっくり戦いたい場合には、ワンタッチで従来のコマンドバトルへ移行することもできます。
コマンドバトルではターンの回ってきたキャラクターから移動や攻撃などができ、CPを消費することでクラフトのスキルを使用でき、EPを消費することで導力魔法の「アーツ」を使用できるところは同様です。
若干の変更点として、敵の側面や背後から攻撃することでダメージが増加させることができるようになりました。
さらにブーストゲージが設けられ、使用することで能力を強化させることもできます。
ただ強力な必殺技であるSクラフトは必要なCPが溜まっててもこのゲージが満たないと発動することができないので使用タイミングは前作までよりシビアになっています。
2つのバトルシステムを設けたことで
あまり強くない敵には時間をかけずにアクションで倒し、強敵と対峙した際はコマンドバトルへ移行してじっくりと戦うなど状況に応じて臨機応変かつスピーディーな戦闘が楽しめるようになりました。
黎の軌跡は、首都・イーディスにあるヴァンが経営するアークライド解決事務所が拠点となっています。
ゲームは複数の章に分かれ、依頼を受けた出向先まで車で移動し、行き先の街の人々とふれあい、イベントをこなすことで物語が展開されます。
そして各章の終わりには帰還して新たな仲間が正式に加わっていきます。
PS4「英雄伝説 黎の軌跡」ショートPV
黎の軌跡の感想<ややネタバレあり>
項目 | 評価(5点満点) |
---|---|
システム | ★★★★ |
熱中性 | ★★★ |
キャラクター | ★★★★ |
音楽 | ★★★★ |
難易度のバランス | ★★★ |
英雄伝説シリーズ、軌跡シリーズをほとんど購入して遊んできた管理人としては壮大なストーリー、キャラクターのカスタマイズ性や戦闘の面白さなどは同様に楽しむことができました。
ただこのシリーズに思い入れがある反面、過去のシリーズと比較しても同様の悩ましさもあります。
そのあたりも踏まえてプレイした感想を分けて書かせていただきます。
キャラクターについて
今作で一番良くなったと感じたのは主要メンバーを一新して人数を厳選したこと。
章によっては一時的にサポートメンバーなどが加わったりするのは変化があっていいと思います。
とにかく前作の「創の軌跡」は操作できるキャラクターが50人近くいたので装備、クオーツなどの入れ替え作業が大変でした。
新キャラだけでなく過去のシリーズのメイン級をごっそり集めたわりに性能が微妙に違うだけのキャラがウジャウジャいただけの印象です。
当時、次回作ではいったい何人になるのか?と不安があっただけに随分すっきりしましたし、
キャラの一人一人にクオーツやアクセサリなどの装着を深く考えられるようになりました。
ほんと、戦闘が4人参加のRPGのメンバーなんて8人くらいで丁度いいんですよ。
キャラ設定も1人1人しっかしりていますし。
何気に効果声優陣を多数起用しています。
それに今までの不自然にギャルゲー臭く感じた「男女比率」もいくらか軽減されています。
とにかく閃の軌跡シリーズの主人公であるリィンがただのラノベ系主人公にしか見れず好きになれませんでした。
今作はリィンがいなくなったおかげでハーレム展開や恋愛ゲームのようなイベントもかなり撤廃されています。
それはドライな性格のヴァンのキャラ設定によるところもあります。
代わりにコネクトイベントがでありますがそこまで気になりません。
フィールドバトルについて
おそらく今作の意見が大きく別れるであろうフィールドバトルの追加。
案の定、ネット上では「攻撃するかかわすだけの単純でつまらないアクション」などの意見を見受けられました。
ただ私は今回のアクションについては肯定的で、軌跡シリーズ、もっといえば英雄伝説シリーズそのものがRPGだと思ってるのでアクションなんておまけ程度でいいと思います。
そもそも本格的なアクションゲームを楽しむつもりで買ったわけでもないですし。
コマンドバトルで戦うのが面倒な時はさっさとアクションで片付ければいいし、ちょっと手ごわそうに感じたら瞬時にコマンドバトルに切り替えて慎重に戦うなど使い分ければいいだけなので今回のアクションバトルは無駄な戦闘のだるさを軽減して時間の節約にもなっています。
ファルコムさんがスピーディーな戦闘を一つの売り文句とした以上、
フィールドアクションで回復やら補助やら必殺技やらガッツリと本格アクションなんてやられても矛盾が生じてしまいますし逆にテンポを損なってしまいます。
街での会話について
この「軌跡シリーズ」を遊ぶことにおいてはもはや宿命といっていいかもしれません。
とにかく
街などで会話できる人が多すぎて糞面倒くさくて苦痛でたまらない。
前作の「創の軌跡」でも巨大な街でたくさんの人との会話ができるのが非常に苦痛で「次回はどうなるのか」と、キャラに抱いてた同様の懸念がありました。
そしていざ今作をプレイすると…。
どうやら会話ができるキャラとできないキャラがいるみたいです!
つまり全員と話す必要はないと。
「やった!!やっとわかったかファルコム!」と歓喜の舞を踊ろうかとしましたが、
結局会話できる人数は今まで以上に多いと理解できました。
今作はヴァンの拠点となる事務所が首都にあるのでそこだけでも移動できるエリアが5以上もあるのです。
昼に全員と会話、イベント終わって夜になると配置も変わってまた会話、明けて次の日に状況が変わったらまた会話…。
何かにつけて同じ街や同じエリアを新しいセリフを聞くために回るのが本当に苦痛です。
(私はできる限りは消化したいタイプなので…。)
しかも、各章は首都からはじまり、出張先でも同様ことをし、さらに章の終わりには仕事を終えて再び首都に戻ってくるので次の章も当然会話が変化するところからスタートします…。
【ある時期のプレイ時間の内分け】
火曜:1時間20分すべて会話
水曜:3時間中2時間会話
RPGプレイして毎日こんな感じじゃちっとも楽しくありません!
4章の途中ではゲームをプレイするのをやめたくなるほど苦痛さがマックスに達しました。
4章で訪れるバーゼルでは一部のイベント以外、ほとんど移動して会話すること以外やることがありません。
エリアは3エリアくらいですが、高低差があったりどのエリアも他のゲームのラストダンジョン並みの複雑な構造の上、会話できるキャラクターも多いのです。
気絶しそう…。
ただ移動して話すだけのゲームなら紙芝居アドベンチャーよりも面倒な分苦痛さも倍増されてしまいます。
本当に4章はプレイしていてキツかったです。
もうこのシリーズ買うのやめようかと本気で考えました。
多分次も買うのでしょうけど。
一通り会話してダンジョン探索してボス倒して、その後もまた新たに街を回ることになると
「今日はもういいや」という感じになる為、評価の熱中性はマイナス面として「★3つ」にしてますが、街での色々な人との会話を楽しく感じる方は逆にプラスして4、5だと思ってください。
それだけゲームに対するモチベーションが大きく左右する部分です。
ただ次回作では
既読済みのセリフを発する人はマップ上で赤くマーキングする
など改良してほしいです。
その方が無駄な移動や会話も避け、プレイがいくらか快適になるので本当にお願いします。
ゲーム展開のバランス崩壊について
イベントや街での会話の多さは他にも影響してきます。
プレイ時間の会話イベント、街での見回りなどばかりでそこにプレイ時間の2/3が費やされるゲームになっており、残りの1/3でのダンジョン探索や戦闘などがむしろ「息抜き」にすら感じます。
従来のRPGでは目的の街を目指してフィールドを進んで道中で戦闘を繰り返しながら経験値やお金を得たりするかと思います。
でも今作では目的地にはフィールド移動をせず車で瞬時に到着してしまいます。
その為、上記のような冒険感は激減しました。
正確には「見た目」フィールドはあるにはあります。
ただこれらはイベントで一時的に移動できるだけのダンジョンの一種に過ぎません。
どのダンジョンも基本的には徘徊する魔物は数が限られ、いなくなってもリセットできますが、普通にすべて倒してゲームを進めてた私でもお金やセピス不足が随所で見受けられました。
せっかく街で買い物をしようにもお金がなく、かといって自由に戦闘をして稼ぐこともできない。
その後、ストーリーをいくらか進めてお金を用意できたころには
「あのアイテム売ってたのどこだったっけ??」
と、探し回ることもしばしば。
創の軌跡ではキャラが多すぎて全員分の装備のお金やクオーツ不足が発生したのに
今回は人数少なったのに戦闘できるタイミングが限定されて同様の問題が生じるなんて何かと不便に感じるようになっています。
結局のところゲーム展開についても
この繰り返しなのでもう少し変化をつけた方が良かったと思います。
過去からある不愉快なワンパターン演出について
今作でも過去の軌跡シリーズから代々引き継がれてる演出が健在です。
強敵と対峙してピンチからの助っ人演出は減ったものの、相変わらず主人公達の行動を遠くから監視する人が実に多いこと。
この世界では流行ってるのか?ていうくらい「ああもう」の連発。
ヴァンの「ハッ!」やアーロンの「ハン!」などはまだ許容範囲。
そしてこのシリーズで一番イラつくのが
倒した後でも何事もなかったかのように戦闘前と同じ状態で饒舌で余裕の姿勢を崩さず普通に動いて会話をする敵キャラの面々。
本当、どのキャラもどのキャラもこんなのしかいません。
「これ、マジでなんなんだよ!!」
と毎回思います。
なんかキャラを強く見せたいがために中二病的な二つ名を皆が与えられ、確実に一度では死なせない(ゲームから離脱させない)キャラばかりなので結果的に強設定の大安売りとなっているのでまったく意味がない。
ヴァンの仲間となるキャラクターでも鍵を簡単に開けたりパソコンのロックを解除するなどストーリーに実に都合いい何かと手際がよく「有能さ」を醸し出す下手糞なキャラ設定。
今回はリゼットがそうした役回りをさせられてる感じです。
(シャロンとも被ってる気が。)
あと主人公だけに与えられた覚醒的な逆転演出。
これはらもう変えていくつもりもないんですかねえ…。
一部システムの改悪について
さらに今作ではとにかくメニュー画面が複雑になりすぎです。
目的とする箇所の変更や説明をメニュー内で探すのが大変でUI周りはお世辞にも快適とはいえません。
ホロウコアの変更なんてある程度章が進んで指示があるまでわからなかったです。
携帯端末のザイファについても、
クオーツだけでなく、ホロウコア、アーツドライバ、プラグインなど設定できる項目を広げすぎです。
しかもプラグインはそのアーツドライバ装備をしないとスロットを開放できないのが非常に面倒くさい!
セピスが足りず開放しきれないと従来のアーツドライバにセットし直す手間も発生します。
このUI周りの面倒さはテストプレイヤーは何にも疑問に思わなかったのでしょうか??
基本的な、想定の範囲内の操作のはずですが。。
そして今作ではミニゲームがほとんどなくなっています。
これは「別の軌跡シリーズ」といえばそれまでですが、ただでさえ会話ばかりのプレイ時間で息抜きできるのがダンジョン探索ぐらいしかない印象をより強めています。
代わりに映画が見れるようになってますが結局は会話が追加されるだけです。
おそらくこの感想を読んだ方は私に対して
「こいつ文句ばっかいってるくせに毎回買ってんじゃん」
と思うでしょう。
それは事実なので否定をしません。
お金出して買ってるからこそ正直に純粋に思えることばかりなのです。
ただ過去にはここで書いた不満が改善されたこともあります。(偶然ですけど)
結果的に口コミなどで広まってメーカー側が不満点に対応して素晴らしいゲームを作ってくれればそれでいいと思ってます。
同じ歴史、世界でつながっている軌跡シリーズなので残念ながらライト層には受け入れにくいですが、キャラデザの良さ細かいカスタマイズ性、戦闘の秀逸さ、ボリュームの多いRPGとしては非常に楽しめるゲームであることは認めざるを得ません。
閃の軌跡Ⅲ(PS4版)
日本ファルコムの大人気RPGの閃の軌跡シリーズ第三弾のレビューページです。
今回は主人公のリィンが教官となり生徒を指導する立場となります。
戦闘にオーダーやブレイクが加わり、より戦略性が増しています。(18/02/11)
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閃の軌跡Ⅳ -THE END OF SAGA-(PS4版)
大人気RPG「閃の軌跡シリーズ」が四作目で完結です。
今作は主人公のリィンの救出を目指す中、帝国が共和国への進行を目論みます。
そして「空の軌跡」や「零の軌跡」のキャラも多数登場し、壮大なストーリーが繰り広げられます。(18/12/16)
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創の軌跡(PS4版)
ファルコムの人気RPG軌跡シリーズの最新作が2年ぶりに発売!
今回は3つのルートに分かれて別々のストーリーが展開されます。
軌跡シリーズお馴染みのキャラがほぼ総出演で戦闘に使用できるキャラは約50人!やり込み要素も満載です。(20/09/28)
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