1990年(ビクター音楽産業)
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ダンジョンマスターはリアルでシビアな3Dダンジョン探索ゲーム
今回はアメリカのSoftware Heaven社の開発部門である「FTL Games」が制作したダンジョンマスターのレビュ―です。
日本ではビクター音楽産業(現・ビクターエンタテイメント)が1990年に日本語版をPC9801やX6800、FM TOWNSなどのパソコンに移植し、後にスーパーファミコンなどの家庭用ゲーム機で発売しました。
3Dダンジョンを探索するこのダンジョンマイスターでは、パソコン版はマウス一つでダンジョンの移動や敵への攻撃など一連の操作が可能となっています。
それでは何から何まで味わったことのないリアルさと緊張感を味わえるゲーム内容をご紹介させていただきます。
ダンジョンマスターのストーリー
大魔導士グレイロードが「力の玉」に秘められた力を引き出すために「炎の杖」と融合を試みるが呪文を誤ったことにより力の玉が暴走し、世界全体を巻き込む混乱を招くことになる。
さらにグレイロードも「ロード・リブラスルス」と「ロード・カオス」に分裂し、その影響で弟子のセロンも実体を失ってしまった。
ロード・リブラスルスの呼びかけで多くの勇者がダンジョンに挑むがロード・カオスの手により鏡の中に封じ込められてしまう。
ロード・リブラスルスはセロンに4人までの勇者を蘇らせ炎の杖を手に入れるよう命じ、セロンはダンジョンの中へと探索に向かいロード・カオスを捕らえ力の玉を用いて世界を救うことを目指すことになる。
ダンジョンマスターのキャラクター
実体のないセロンはまずはじめに「勇者の館」で自身に代わって冒険に出発するキャラクターを24人の中から4人まで選ぶことになります。
最初の階のいたる場所に鏡に封印されたキャラクターがいて復活させることでメンバーに加わります。
復活できるキャラクターは人間だけでなく獣人ぽいのもいて多種にわたります。
能力は大きく戦士、忍者、僧侶、魔術使いの4つのレベルがあり、キャラクターによって各能力の数値が異なります。
通常攻撃を実行していけば戦士の能力が、回復薬などを調合していけば僧侶の能力が上がるなど、初期値の違いこそあれ、欠点を補えるようにある程度好きなように育てて行くことが可能です。
とにかく選択できるメンバーは24人もいて迷うかもしれませんが途中で変えることはできないので慎重にバランスのいいメンバーを選ぶ必要があります。
各キャラクターにはそれぞれ能力の初期数値が決まっているだけでなく、所持できる装備品やアイテムの重さにも限度があり異なります。
やはり戦士系のレベルが高いと最大値も高いですが、魔術師系は低いです。
装備やアイテムが増えてくると体に負担がかかり歩くスピードが落ちるなどの悪影響が出ます。
また食料や水のメーターもあり、時間が経ち空腹や喉が渇いたりするとメーターが下がり、同様に冒険に支障が出て最終的に餓死したりするので適度に回復するようにしましょう。
なお僧侶の呪文で回復薬などを作成してフラスコにストックしておくことができます。
ダンジョンマスターのシステム
ゲームの舞台となるダンジョンに潜り、奥へ奥へ下へ下へと目指して行きます。
時には敵と戦い、時には謎を解き、時には食事をし、時には睡眠をとり、必要な鍵を手に入れ進行していきます。
ダンジョンのあちこちには食べ物が落ちてます。
敵を倒すことにより敵の肉を食料として手に入れたり、稀に装備品などを落としていくこともあります。
こちらの水場では「空フラスコ」や「革袋」を使用することで水を補充することができます。
食べ物と違ってなかなか見つかりにくいので階ごとの場所は覚えておきましょう。
扉の向こうには敵の姿が…。ここではボタンを押すと扉が開きますが、当然敵が襲ってきます。
扉はダンジョン内に何カ所もあり、中には特定の鍵がないと開けられない扉やちょっと変わった操作で開くのもあります。
ダンジョンを探索しているとたまに壁に謎かけのメッセージを見かけることがあります。
これは鍵穴のない扉を開いたりダンジョンのギミックに関わるヒントがほとんどです。
ちょっと考えればわかるものもありますが、もしわからない場合は周りを確認したりアイテムなどを使うことで道が開ける可能性があります。
こういったメッセージの謎を解くのがダンジョンマスターの難しさであり、面白さでもあります。
ダンジョンマスターの戦闘
あなたがダンジョンを探索してるように、敵もダンジョン内を徘徊しています。
そして対峙した瞬間から戦闘がはじまります。
攻撃したいキャラクターが所持している武器を選択すると、さらに攻撃方法のコマンドが出てきます。
他のRPGと違い、ダンジョンマスターの世界では常に時間が流れているのでモタモタしていると敵は容赦なくガンガン攻撃してくるので注意が必要です。
また画面右上のシンボルマークを組み合わせて呪文を唱えて攻撃することも可能です。
なお一部の敵は倒した後、そのまま食料になります。
このスクリーマーは倒すことで「スクリーマーの肉」という見た目がブロッコリーのような肉を手に入れることが可能です。
時には集団で襲ってきます。素早い操作と冷静で的確な判断力を要求されます。
強敵との戦いでは死んで骨になることも…。
ピンチなら見捨てて逃げたい状態もあるかもしれませんが、そのままでは死んだキャラクターは二度と使えなくなります。
きちんと骨を拾って「復活の祭壇」まで運ぶことで復活することができます。
もちろん祭壇の場所は限られていますし、死んだキャラクターの所持してる大事な荷物も持っていく必要がある場合は、重量の制限も考えがなければなりません。
このゲームは死ぬことのデメリットが大きするので強敵との戦闘は本当にスリル満点です。
見るからに強そうな巨大なドラゴンも登場します。意外に足も速くて恐怖でなりません。
ただ全ての敵を倒す必要はなく、時には逃げ回って先に進む柔軟な考えが必要になります。
ダンジョンマスターの感想
項目 | 評価(5点満点) |
---|---|
システム | ★★★★ |
熱中性 | ★★★★★ |
キャラクター | ★★★ |
音楽 | ★★ |
難易度のバランス | ★ |
発売当時はとにかく何もかもリアルな冒険を感じさせてくれるゲームとして異彩を放ってました。
広くて深いダンジョンを冒険するのは並大抵のことではなく、松明の明かりが暗くならないか、水や食料が尽きてしまわないか、所持品が重くなってしまわないか、眠って体力を回復してる時に敵に襲われないかなどなど…。
一般的なゲームにはないところで常に気を配らなければならないことが多すぎ、魔物との戦い以外でも常に命の危険性があり、緊張感との戦いです。
なんてことない敵でも気づけば周りを壁と敵に囲まれて思ぬ大苦戦することだってあります。
複雑なダンジョン構造や難解な謎解きももちろん、上記のようにプレイヤーが気を抜けない環境の為、ゲームとしてはかなり難しい部類に入ります。
ギミックによってはある程度の迅速で精密なマウス捌きも必要であることに加え、元々3Dダンジョンゲーム自体が人によっては非常にハードルが高く感じるところでもあり、落とし穴で下に落ちたり、いつのまにかターンテーブルを踏んで方向転換してたり、ワープゾーンで知らないところにとばされたりすると自分の現在地が全くわからなくなってしまうことも頻繁にあります。
ゲームに関しては「マッピング」という言葉を最近はあまり聞かなくなりましたが、ダンジョンマスターのような複雑で何層にも連なるダンジョンはマス目のノートなどに自分でマップを作っていくのは当時では決して珍しくなかった行為だと思います。(私は攻略本を買ってクリアしましたが。。)
ただハラハラドキドキしながらダンジョンを進んで冒険することやメッセージの謎を解いて行くことはとても楽しいですし、自ら道を切り開いていく感覚は爽快です。
呪文の作り方や、自ら動き敵の背後に回って攻撃するなど、随所でこのゲームでしか味わえない独特の良さは光ってます。
そして仲間の骨を敵に投げて倒せるなんてこのゲームでしか味わえません!
なお他機種では未確認ですがPC9801版はBGMがありません。
ただ静まり返ったダンジョン内を冒険してると突然、近くの見えないところで敵の動作音が聞こえたりすると(いるな!)と身構えたりしてプレイヤーとしてはなかなかいい演出(?)も醸し出してもらってます。
「温いゲームなんかやりたくない!」という方は一度、この眠らないダンジョンを潜ってみることをおすすめします。
