1994年7月22日発売(ヒューマン)
ファイプロ女子 ALL STAR DREAMSLAM(オールスタードリームスラム)は、スーパーファミコンで発売されたプロレスゲーム「ファイヤープロレスリング」シリーズの女子プロ版です!
なお「ファイプロ女子」は後に技数と他団体レスラーを大幅に増強した2作目の「クィーンズスペシャル」も発売されています。
女子プロブームの時代の勢いに乗って発売されたファイプロ女子版
かつて女子プロレスの老舗メジャー団体である全日本女子プロレス(全女)を中心に各団体との対抗戦がスタートし、1993年~1994年は空前の女子プロレスブームが沸き起こっていました。
男子ではなかなか見れないような各団体のエース級レスラー達が続々と参戦する夢のオールスター戦が実現され、その人気は報道番組でも取り上げられたほどです。
当時はスター選手が豊富な中、とくに中心となってたレスラーといえば女子プロレス界最強のベルトであるWWWA世界シングル王座を長期に渡って保持していたアジャ・コングとヒールレスラーでありながら驚異的なカリスマで注目を浴びたデンジャラス・クィーン北斗晶の2人です。
その女子プロブーム真っ只中にファイヤープロレスリングシリーズでもついに待ちに待った女子プロ版が発売されるということで、私は迷わず購入したわけです。
ファイプロ女子 オールスタードリームスラムの登場レスラー
今作は「全日本女子プロレス公認」だけあって登場する全日本女子プロレスのレスラーは全て実名です。
【全日本女子の主なレスラー】
アジャ・コング、北斗晶、ブル中野、堀田祐美子、豊田真奈美、山田敏代、井上京子、長谷川咲恵など。
なお、全女以外の各団体のレスラーも実名を伏せた形で数人登場します。
【他団体の主なレスラー】
イエローウーマン(神取忍)、ピンクウーマン(工藤めぐみ)、グリーンウーマン(ダイナマイト関西)、ホワイトウーマン(キューティー鈴木)など
※他団体のレスラーはレスラー選択時に特殊操作で選択可能
ファイプロ女子 オールスタードリームスラムの試合形式やルール
ウイニングロードでは操作するレスラーを決定し、他の全レスラーとのシングル勝ち抜き戦が行われます。
全て倒すと隠しレスラーが登場し、これらをすべて倒せばエンディングとなります。
このモードではシングルだけでなくタッグによる勝ち抜き戦もあります。
その他にリーグ戦、トーナメント戦、5vs5のイリミネーションマッチ、4つ巴のバトルロイヤルなど豊富な対戦形式を楽しめます。
そしてロープチェック、試合時間、コンピューターのレベルなど細かい設定ができ、友達との対戦も可能です!
ファイプロ女子 オールスタードリームスラムの試合
オールスタードリームスラムの試合中の技のかけ方は、まず対戦相手と近づくことで組み合うアクションが発生します。
その組み合った瞬間に定められた十字キーとボタンを同時に押すことで対応する技が発動されます。
組み合うタイミングには難易度のレベルが設定され、ウイニングロードでは倒せば倒すほどパラメーターが強設定のレスラーが登場し、この組み合うタイミングもシビアになってきます。
また基本的にボディスラムなどの小技はタイミングで相手より勝ればいつでも成功しますが、中技や大技はある程度ダメージを与えてからでないと失敗したり反撃されます。
この作品はファイプロシリーズの「スーパーファイヤープロレスリング3 Final Bout」と「スーパーファイヤープロレスリングSPECIAL」の間に発売されたので、雪崩式など「スペシャル」以降で搭載された機能(ボタンの組み合わせ)はありません。
そういうわけで各レスラーの技のボタンの組み合わせや技装備の数は前作の「Final Bout」とほぼ同じ数になります。
ただ、さすがは女子プロレス。
男子だけのファイプロには存在しなかった女子ならではの個性的で派手なレスラー、華麗な技の数々が搭載されています!
もはやパフォーマンスの一つと言っていい、ブル様のヌンチャク攻撃。
これを普通に容認されてるところが女子プロレスの面白い所の一つです。
線は細いですが、シャープで多彩な蹴り技を得意とする山田敏代。
彼女の必殺技の「リバースゴリースペシャルボム」の入り方はとても独特です。
自分の背中から腕を組んで…。
くるっとひっくり返って垂直に落とします!
ただ、技の入り方が難しく落とすまでのモーションが長いせいか、テレビ中継ではあまり成功するところは見たことなかったです…。
そして各レスラーは自慢の必殺技で試合を決めることで一瞬ですが実写ムービーが流れます!
数々の個性豊かな女子プロレスラーを操作して魅力をより感じることができるゲームです。
ファイプロ女子 オールスタードリームスラムの感想
項目 | 評価(5点満点) |
---|---|
システム | ★★★★ |
熱中性 | ★★★★ |
キャラクター | ★★★★★ |
音楽 | ★★★★ |
難易度のバランス | ★★★★ |
登場するレスラーが個人的にまさに一番良かった時の全日本女子のメンバーがそろっていると思います。
さらに他団体のレスラーも名前が違うとはいえ、主力となるレスラーはきちんと操作できます。
団体対抗戦で一気に盛り上がった女子プロレスのマットで活躍した選手の対戦がファイプロでも味わえるので女子プロファンにはたまりません!
スーパーファミコンで1994年当時のファイプロなので技数は限られていますが、華やかで個性豊かで派手な女子プロレスラーの技は忠実に再現されています。
プロレスでは女子の方が男子より体が柔らかいせいか、男子でも決まるような投げ技が一、二発くらいではほとんど決まることがありません。
そのせいか女子レスラーは落下式、ボム系の必殺技が多く見かける気がします。
サウンド面に関しては全員ではないですが、選手固有の曲も多々あり、明るく軽快な女子らしいイメージの良曲がそろっています。
私が女子プロらしくて一番好きだった技は、このオールスタードリームスラムに収録されてたかは覚えてないですが、
井上貴子がやる相手をロープに振って戻ってきた時の「ビンタ」です!
無駄に反感を買い、屈辱感を与えるこの憎々しさが見てて面白かったです。
女子プロブームのカリスマ的ポジションにいた北斗晶は、今の若い方はバラエティ番組で見る「鬼嫁」くらいの印象しかないかと思いますが、現役時代は本当にすごかったんですよ!
決してごつくなくむしろ腕は細く、試合中に首の骨を折る重傷を負うなど常にどこかケガしてるイメージがありましたが、見た目以上の強気なキャラで激しい攻撃とスピーディーで華麗な空中技、何より極度の打たれ強さがありました。
そして試合後は非常にガツーンと脳まで届くキレのあるマイクパフォーマンス!
当時からも口調はかなり強かったです(苦笑)。
男子に比べれば女子プロレスを見てる層はさらに偏りがあるかもしれませんが、この女子プロ全盛期の時は男子よりも面白く感じました。
ただ、女子プロブームのまさにド真ん中にいた北斗自身が言ってたのですが「女子プロが衰退したのは対抗戦で見たいカードを実現しすぎた」ということです。
確かに、対抗戦の時がピークで以降は北斗の引退、他団体の旗揚げ、全女の大量離脱、全女の倒産など事態が目まぐるしく変化しました。
それでも数年経ち、時代が令和となってテレビで初めて見た女子プロレスのスターダムなどは、さらに個性も技も熱量も90年代とはまた違った新しいプロレスの魅力を感じさせてくれました。
一部、悲しいニュースがあったのは非常に残念ですが、私は女子プロレスは男子にはない迫力やエンターテイメント性などの魅力がたくさんあると思っています。
このゲームでも、当時のスペックやシンプルなシステムでファンが納得できる形で実現できたのはスタッフの熱意であり女子プロ愛だと思いました。
ファイヤープロレスリングワールド(PS4版)
伝説のプロレスゲーム「ファイヤープロレスリング」が13年ぶりにファイヤープロレスリングワールド(ファイプロW)としてコンシューマ機に復活しました。
ユーザーが作成したオリジナルレスラーを専用ホームページからダウンロードして遊ぶのが楽しいです。(18/08/19)
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