1990年12月16日発売(エニックス)
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抱き合わせで買ったゲームが文字通りの「神」ゲーだった
【2021年10月14日更新】
アクトレイザーはスーパーファミコン初期に発売された、知る人ぞ知る「隠れた名作」です。
80年代、空前のファミコンブームを巻き起こした任天堂が、ファミコンの後継機としてより性能をパワーアップさせたスーパーファミコンを1990年11月21日に発売しました。
元号が平成になって2年目のことです。
アクトレイザーを語る上でどうしても先に当時の状況を説明させてください。
数あるファミコンソフト一番のメガヒット商品であるスーパーマリオブラザーズの最新作、「スーパーマリオワールド」がこのスーパーファミコンで出るとなると、当然買いたい!という気持ちになりました。
が、発売当初はスーパーファミコン本体が品薄状態で買いたくても買えない状態でした。
そうした消費者の弱みに付け込んだかのように一部の販売店が「セット販売」「抱き合わせ商法」を実施する風潮がありました。(現在は禁止されてるはずです。)
ある日、近所の電気屋がスーパーファミコンの本体に人気のマリオと不人気、マイナーな作品をセットにして販売してました。
買う方からすれば本体とマリオだけでいいのに、他のソフトが付属することで通常より5000円くらい高くなっているのです。
「・・・本体ある、マリオ、やりたい。でも、買えない。」
という怒りと無念の気持ちが常にありました。
その後、発売から一ヶ月以上経ちましたが、本体品薄の状況はそれほど変わらず、マリオワールドを遊んでる周りに焦りすら感じる日々を過ごしました。
結局、予想外に高くついてしまいましたが迷いに迷い、とても待ちきれずに無理してどうしても欲しかったスーパーファミコンをセット版売で買ってしまいました。
そう、そのマリオの人気に抱っこされてセットとして付属されてたのがこのアクトレイザーだったのです。
購入時の私はマリオしか眼中になく、いくつからあるセット販売のゲームタイトルはとくに気にせず、適当に(?)アクトレイザーとのセットを選んでいました。
…ただ、後にこの選択が大正解だったと当時の私は知る由もなかったわけです。
最初はマリオばっかりやってて全面クリアーするまでアクトレイザーには全く手をつけてませんでした。
その後ようやくマリオも終わり、あまり知らないアクトレイザーをそろそろやってみるか、という頃合いになりましたが、セット販売のゲームだったので最初はあまり期待はしてなかったです。
ただ実際にプレイすると…
「…なにこれ?めちゃくちゃ面白い!!」
遊んだ初日でそのセット販売だったゲームに夢中になりました。
アクトレイザーのストーリー
サタンは神の統治する地上を狙っていたが両者の力が拮抗していた為、平和を保たれていた。
その後サタンは6体のしもべを連れて神に戦いを挑み、敗れた神は天空城へと逃げ込み、傷を癒すために深い眠りにつくのであった。
そして地上はサタンの手に落ち人々は魔物に変えられた。
数百年後、目覚めた神はサタンを倒して人々を救うために行動を開始するのであった。
アクトレイザーのシステム
プレイヤーは神となり「アクションモード」と「クリエイトモード」の2つのモードでゲームを進めて行きます。
まず選択した地域の魔物と戦う「アクションモード(ACT1)」をクリアすることによりその地域が開放され、クリエイションモードに入ることができます。
その後、ゲームを進めるとその地域の人々を苦しめている元凶のボスが出現するので、再び「アクションモード(ACT2)」となり、ボスを倒せばその地域は開放されます。
このように各地域を救うことでゲームが進行していきます。
アクトレイザーのクリエイションモード
クリエイションモードでは人間は最初は男女一人ずつの2名しかいません。
彼らに町の発展の方向を指示すると道が作られていきます。
神であるプレイヤーは邪魔な木や岩を雷で破壊したり、乾いた田んぼに雨を降らしたりなどして町の人々の発展の手助をします。
そして時々、住人から呼び出され相談にのったりしてイベントを進めて行きます。
余談ですがこの当時は他に「シムシティ」や「ポピュラス」などの発展型シミュレーションゲームがブームでした。
そして一定時間が経過すると(砂時計が下まで落ちると)人間が建物や畑を作り始め、人口が増加します。
これを繰り返すことにより、その地域が発展し、人口も増え、人口が規定値に達すると神(プレイヤー)がレベルアップします。
各地域には魔物の巣から魔物が出てきて時には人間を攫ったり畑を破壊したり邪魔するのでエンジェルを操作して弓矢で退治する必要があります。
そして魔物の巣に人々を誘導すれば封印することができ、その魔物の巣から魔物は出てこなくなります。
そしてイベントを進めて行くとその地域のボスが出現します。
アクトレイザーのアクションモード
アクションモードは最初にその地域のボスを倒して街を開放する時と、街のイベントを進めて根源であるボスが出現した時、つまり1つの地域で2度突入する機会があります。
主に剣を振り回して戦うことになり、クリエイションモードでレベルアップすればHPが増加し、ストーリー中のイベントで魔法を放つことも可能です。
ステージは砂漠や寺院、火山、大木など多岐にわたり、描き込まれたグラフィックと雰囲気を盛り上げるBGMが最高です。
どのボスも見た目や攻撃方法が実に多彩で強敵ぞろいです。
ただ残機が0になっても神殿に戻される以外は特にデメリットがないので、その時点で可能な限りの人口を増やしてレベルアップさせたり装備する魔法の見直しなどして何度もチャレンジできます。
そしてボスを倒すことで完全にその地域では平和を取り戻したこととなり、別の地域の発展や救済に向かうことになります。
30年ぶりにリメイクで発売されたアクトレイザー・ルネサンス
スーパーファミコンでアクトレイザーが発売されてから約30年後。
2021年9月24日にはなんとアクトレイザーのリメイク版となる「アクトレイザー・ルネサンス」がリリースされました!!
ベースはそのままにグラフィックの強化、BGMのアレンジなどはもちろん、
ゲームシステムにも大幅な改良が加えられ、各地域に英雄やクエストの追加、砦の建設、魔物の巣の小規模なアクションパートの追加など新感覚のアクトレイザーが遊べます!
そして最大の特徴はクリエイションモードでRTS(リアルタイムストラテジー)の防衛線が追加されたことです。
英雄や神の力を駆使し迫りくる魔物から神殿を守り抜かなければなりません。
「アクトレイザー・ルネサンス」では難易度設定もできるのでスーパーファミコン版が難しくてクリアできなかった方でもチャレンジしてみてください。
対応ハードはNintendo SwitchやPlayStation4などでそれぞれ専用のオンラインストアでダウンロード版のみの販売となります。
アクトレイザー/アクトレイザー・ルネサンスの感想
項目 | 評価(5点満点) |
---|---|
システム | ★★★★ |
熱中性 | ★★★★★ |
キャラクター | ★★★★★ |
音楽 | ★★★★★ |
難易度のバランス | ★★★ |
アクトレイザーはスーパーファミコン初期のゲームとしては申し分ないほど全体的にクオリティが高いです。
音楽のクオリティ・評価はとにかく高く、当時開発中だったファイナルファンタジーⅣの開発チームがこのアクトレイザーの曲に愕然として、音源から作り直したと言われるほどのレベルの高さです。
スーパーファミコンが出たばかりの頃だったのでグラフィックの美しさ、細かい表現にも圧倒されました。
アクションパートの各ボスもファミコンでは考えられなかったデカい敵がガンガン動き回るのでスリルと迫力がケタ違いでした。
一部のボスが強かったり、倒し方が面倒なのもいますが、決してアクションがうまくない私でも何回かチャレンジできれば倒せるレベルです。
そしてこのゲームの特徴はアクションモードとは別にクリエイションモードという二つのゲーム性が存在することです。
このクリエイションモードは人々に地域の発展を導くことになりますが、その都度トラブルに対処していくのが面白いです。
イベントで魔法やアイテムなどを入手することでアクションモードが有利になるので疎かにできるものでもありません。
問題点はイベントを早めに消化しすぎると人口の増加待ち状態になるので画面で砂時計が流れるのをボ~っと眺める時間が何回か発生します。(苦笑)
なお最後のボスとの連戦がきついという声がよくネットで見かけましたが、一部の地域にある1UPアイテムを集めれば格段に楽になりますし、ラスボスに関しては動きはそんなに早くなく、パターンも読めるのでうまくやれば無傷で倒すこともできなくはないです。
とにかくマリオワールドだけでは出し切れなかったスーパーファミコンの性能のすごさをこのアクトレイザーは十分すぎるほど私に見せつけてくれました。
これだけのゲームがなぜマリオとセットにされてたか未だに謎…。
でも結果的にこのゲームに出会えたのは得だったのかもしれません。
ちなみに前回は2017年くらいにプレイしましたがバッテリーはまだ生きてました。
そしてリメイクされたアクトレイザー・ルネサンス。
前述したようにアクトレイザーに誰よりも強い思い入れが私にとっては「なぜいまさら?」と思いつつもリメイクが出たとなると飛びつくように即購入しました。
そしていきなりの衝撃!
スーパーファミコンでも十分満足できたグラフィックやBGMが、現行ゲーム機のHD画質で目の前に広がると感激で震えました。
基本的なゲーム性は同じなのですが、やはり今風にアレンジされててクエストとして複数のイベントがあったり魔物の巣にもアクションパートが設けられるなど、スーパーファミコンよりはいくらかボリュームが増しているので最初のフィルモアを終わらせるのにも2時間以上かかりました。
防衛線のRTSは慣れてない方は戸惑うかもしれませんが、英雄を育て落ち着いて砦や柵を配置して対処すればいいのですが、後半になるとわりと慌ただしくなり難易度がイージーでも苦戦します。
対象の魔物の相性を考え、戦う英雄や使用する神の奇跡を上手に使い分ける必要があります。
結果的にルネサンスもオリジナル以上に楽しむことができたので満足しています。
(ワールドマップから画面を切り替えた時の読み込みが長いのは少し気になりましたが)
なおアクトレイザーはアクションモードのみとなった「アクトレイザー2」もスーパーファミコンで発売されましたが、私には期待外れでアクトレイザーファンが求めている内容には物足りなさがありました。
以降、シリーズとして続かなかったのはそれだけ不評だったのでしょうか…。
そして忘れたころにようやく1作目のリメイク。
このようにアクトレイザーは私にとってはまさに天から降臨して巡り会えた「神ゲーム」であり、どなたにでも楽しんでいただけるゲームだと思います。
今プレイするならやはりシステム面の向上やボリュームからも「アクトレイザー・ルネサンス」を各オンラインストアから購入する方がおすすめです。
スーパーファミコン版は人によっては環境を整えるのが大変ですし、バッテリーバックアップの電池が残ってるか気になるところです。。