今回はサポートデスクの仕事を経験したことで得た知識やスキル、経験談をご紹介したいと思います。
私は人生で最初に正社員として働いたのは某アプリケーションを販売している会社のサポートデスクで、この会社では2003年から約3年間仕事をしていました。
この会社、この仕事では良くも悪くも自分を成長させ、自分の人間像を確立させてくれました。
それ以前にアルバイトでコールセンターなどの経験は若干ありましたが、電話でお客様に伝える内容はだいたい毎回同じでした。
他は簡単な手作業やルーチンワークなどのアルバイトばかりで基本、黙々とやってる仕事が性にあってると思いました。
その後、就職先を探してた時、社会に出て対人スキルの向上としてやはり接客の経験が自分には必要だと思ったので、A社に入社してサポートデスクとして働くようになったのです。
一般的なサポートデスクのイメージは「ずっと座って電話対応している」「クレーム対応が大変」などだと思います。
それは間違ってませんし、ほとんどの会社も同じだと思います。
実際にはそれに加えて「顧客対応以外に色々やらなければいけないことが多い」ことでした。
サポートデスクとは
サポートデスクとは主に顧客からの問い合わせに対応するために設置されてた企業の窓口です。
商品やシステム上の不具合など企業により提供してるサービスは異なりますが、それらを電話やメールでサポートして回答する仕事になります。
私が働いてた職場ではありませんでしたが、今は遠隔サポートでお客様の画面を自分のパソコンに移して画面を見ながら案内することもできます。
サポートデスクの仕事内容
私が2003年から働いていた会社の当時のサポートの主だった詳細や仕事内容です。
・商品のメインアプリケーションはデザイン系ソフト
・入社した時の最新がwindowsXP、macがOSⅩ対応版でそれなりに歴史がある
・サポート対象商品は20万~30万円する高額ソフト
・開発元が海外で英語版を日本語ローカライズして販売している
・サポート部は課長、実際に受け付けるのは私を含む3名(非公開)
・受付時間は午前10時から午後6時まで(土日祝休み)
・質問は電話、FAX、メールなどから
・質問内容はソフトの基本操作やインストール、トラブルの対処
・受付時間中は基本電話に集中して受付前の30分や業務終了後にメールやFAXの文章を作成
・連休明けの月曜日や新商品のバージョンアップやアップデートの時期はとくに忙しい
・一年に一回ほど出張がある
・クレームが多い
なお社内では以下のように定義づけてます。
社内でも開発部とサポート部以外は使い方を間違っている人が非常に多かったです。
アップデート:5.1→5.2など簡単な変更や修正をしたマイナーアップ
バージョンアップ:5→6など新機能などを加えた完全新作
自作パソコンは基本サポート対象外でサポートは受けますが100%の動作保証はできません
なお扱ってるデザイン系ソフトは3Dの図面が作れます。
文章を打ち、画像を取り込め、簡単なアニメーションなども使えたので
いいところで見れば汎用性が非常に高く他社とのファイル互換もあるも便利なソフトです。
ただ、それは常に「正常に動いてれば」の話です。
多かった電話の内容(クレーム含む)と対応例
こちらではよくあった質問と対処した例をご紹介します。
本当に質問(クレーム)の数は多種多彩で、かなりイレギュラーなのもありました。
基本的には「消去法」で原因を探っていきます。
一番の判断基準はその人の、そのファイル、その環境だけで起こってるのか?
共通したトラブルが別々の方から連絡があるのか、ということです。
もちろん会社としては後者の方が深刻です。
※回答は会社が形式として出している答え方です
・ファイルが開かない、挙動がおかしい場合
→同じパソコンに入ってる同じソフトから作った他のデータはどうか
→別の環境(パソコン)での状態はどうか
→ファイルが壊れてるなら新規ファイルに中身をコピペしてどうか
→データを受け取り、mac版とwindows版でそれぞれの違いを確認
→過去のバージョンではどうか
それらにより解決しない場合はソフトの問題の可能性があると判断し、
データでの問題(バグ)を見つけて開発部に報告したりします
メニューや説明書きが英語や文字化けなどしている
完全にこちらのミス。
開発部まずβ版などの英語表記のデータを日本語ローカライズしているのですが、スケジュールに追われてるのか、一部英語表記のまま残っているのです。(チェックしてるかも怪しい)
<回答>→こちらのアップデートで対処するよう報告しておきます。(100%の約束はしない)
インストールが正常に
インストールの際もセットアップ画面でプログラム上で表記が不親切であったりデフォルトのフォルダ指定がわかりにくいのが問題。
<回答>→こちらもアップデートで対処するよう報告しておきます。(100%の約束はしない)
なおこの会社に限らずインストーラが動かない、インストールが進まないなど他のソフトなどでもよくありますが、
環境的な問題が一番考えられます。
大抵はウィルス探知などの常駐ソフトを解除したり、セーフモードで起動することで解決しました。
それでもダメだった方がいて、よくよく聞いてみれば自作パソコンだった、というのもあります。
自作というのは安く済む反面、どんな問題が起こっても自分で対処するしかないのが暗黙のルールのはずです。
できる限り案内はできますが、対象外OSはもちろん、自作パソコンでの動作保証はしていませんし、何が起こってもどうにもできません。
会社としては、きちんと対応した環境で動作すれば問題ない、という大前提になるのです。
印刷がうまくいかない
当時の会社のアプリケーションにはプリンタードライバーを搭載していないからお客様の使用されてるプリンターのドライバーに100%依存している、という仕様でした。
つまりプリントを実行すれば使用されているプリンターの画面が出るのでお客様によって画面も設定内容も異なります。
これがものすごく厄介な仕様でした。
出力がうまくいかなくても「原因はプリンター側」とその説明をしたところでお客様は知ったことないです。
設定内容もこちらで聞くよりはプリンターのメーカー側の話に思えますが
「おたくのソフトでうまく印刷できないんだからそっちでどうにかしろ!」と。
<回答>→プリンタードライバーを更新してください
このアプリケーションがプリンタードライバーに依存している関係上、
出力がらみの場合はプリンタードライバーを最新に更新するか、完全に削除して入れ直すかで大抵解決します。
つまり、というかやはり出力周りはプリンター側の問題でほぼほぼ間違いないのです。
ただ他のアプリケーションで印刷できてもそれはドライバを搭載してるからであって…。
まぁ、確かにお客さんは知るはずないですよね…。
それとは別にFAXにただ「印刷できないんだけど!」
とこの一言だけ書いてきた人がいましたがそんな書き方で解決できると思ってるのでしょうか??
環境もプリンター名も書いてありません。
「他のファイルは」「他のアプリケーションは」「どのように作られたデータ」「二台以上のプリンターでも同じか」などなど詳細がわかならない限り、原因は特定できません。
中には画像ばかり入れたえらい重たいデータがプリンター側での処理がストップしてたことなんてありました。
試しにお客様の会社で他のファイルや他のパソコンからや他のプリンターで出力させたらあっさりできた、というのもありました。
バグが多い
ここが一番クレームにつながってたところです。
99%こちら側の問題なのです。
過去のファイルを新しいバージョンで開いたら図形がずれてる、メニューバーで入力したら強制終了した、強制終了後にファイルを開いたら壊れてる、など重度の高い症状がでてきます。
マメに保存しないでいたり何日もかけてやった仕事が一瞬にして壊れるのでお客様の怒りは途轍もないです。
これもまちがいなく開発がらみでの話で開発には正直いい印象がありませんでした。
強制終了がファイルが壊れるて!自宅パソコンでは読み込み中が長くてで一回ダメにしたくらいですよ。
電話しながらお客様の言われたとおりに操作したら、自分のパソコンでも同様に強制終了したのです!
もうこのアプリケーションの不信感はサポートしていれば色々と不信感が高まってきてました。
<回答>→こちらもアップデートで対処す…
毎回、毎回こんな感じです。
お客様にデバック作業でもやらせてるのか?と。
そりゃあ、お客様は怒りますよ!!
バージョンアップを繰り返して何年もご利用されてる長いお客様からすれば「またか!」て感じです。
大抵は新しいバージョンで正常に動作していない、うまく互換がとれていないのです。
まるまるゴッソリなくなってた機能もありました。
中には過去の直したバグが復活している、なんてどうしようもないことも。
ただ、お客様にも常識はずれな人もいました。
「PCが起動しなくなった」
…これうち関係ある?
(FAXに手描きの図形があり)「こういう形状のオブジェクトの作り方を教えてほしい」
…なんであんたの仕事の手伝いをこっちがするんだ?
もちろん、そんなこと声に出して言いません。
親切丁寧にサポートして感謝されるのは本当にうれしいことですが、
調子に乗って本来の仕事以上の質問をしてくれる人も出てくるのです。
それでも同じようなトラブルが多いと思ったらメールやFAXのテンプレートを用意しておくことで処理の時間を短縮することに成功しました。
・インストール方法
・プリンターのドライバーの更新方法
・〇○の問題の対処方法について
などなど。
使いまわせそうなコピペで組み合わせたりして。。
次から次へと質問がくるので色々処理の仕方を考えないとまわらなくなるのです。
開発部への不信
バグの多いアプリケーション。
最初の研修の時からアプリケーションの一部操作の挙動がおかしいと思ってたのはフラグでした。
会社が新バージョンの発売の際、開発部が全社員の前でお披露目的に新機能のプレゼンなど発表して盛り上がっててもサポート部は素直に喜べないのです。拭えきれない温度差が存在しています。
…社内ではサポートが抱えてる問題などどこ吹く風でした。
いや、他の部署もまたそれぞれ問題を抱えてるのはあると思いますが、
サポートが困るというはお客様も困るし不信感を抱いてるのです
結局は開発部に問題点を伝えて開発元の海外で直してもらうしかないのです。
こちらではどうにもなりません。
それでも過去に何度も投げた問題もスルーされることもよくあるようです。
そこでサポート部でも時には英文で(翻訳ソフトを使用しながら)文章を作ったりもしてました。
1.ファイルを開く
2.メニューの○○を開く
3.データで文字を入力する
4.すると強制終了する
なんて形で英訳したりして。
なんでこんな開発がやらなきゃいけないことをうちらがしなきゃいけないんだ!
と思いましたよ。思わずにはいられません。
今回は仕事の内容とそれを取り巻く環境をご紹介させていただきました。
サポートは開発のミス、営業は勉強不足で不十分な説明からによる矛盾でクレームになるなど結構他部署の尻拭いをしていました。
サポートはそういう仕事だ!と言われればそうなのかもしれません。
ただ諦めて黙ってただけでは解決できませんし、それも自分の力量の限界です。
この会社を辞めた後の私なら「現在の私」と同じなので
問題点をはっきりと直接その人に忠告したり大きく会社に、上に取り上げることができたと思います。
「強く主張しなければ、人とぶつからなければ悪い状態は何も変わらない」とわかったのはこの会社を辞めてからなのです。
でも当時20代前半の私は最初の正社員で何もわからず、ただただ仕事に一生懸命真面目に取り組むのが精いっぱいで、周りの目を気にしながら自信を持って社内の先輩方にも説明ができない人間だったのでそういう力はありませんでした…。
次回は現在よりも未熟だった若かった私が
人間関係と仕事の苦労を経て得て成長できたことをまとめて書かせていただきたいと思います。
サポートデスクの仕事を経験したことで得られた思考とスキルその2~過酷な環境からの成長~
サポートデスク体験談の続きです。
周りの仲間や厳しかった先輩の存在などの人間関係の他、私の過去の職歴史上、もっとも辛かった経験をご紹介させていただきます。
その経験を経た上で仕事に対する考え方が変わりました。(19/07/13)
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